大好きなアナタ×大嫌いな「あなた」
一応言っておく。
「いってきまーす。」
いってらっしゃいという、返事がリビングから聞こえる。
ガチャ
いつものように、学校に行く。
「梨紅(リク)っ!!!おはよ。」
明るい声であいさつしてくれた、今日も玄関の前で待っててくれる…
幼馴染の 長野 慎(オサノ シン)。
成績優秀、容姿端麗(すぎて困る)。
幼馴染として
私の、自慢でもあり、憧れでもあり
―…想い人でもある。
「おはよ。慎」
そんな、慎に私も笑顔で返事をする。
「おう。」
いつも、慎は私にこの輝かしい笑顔をくれる。
私が慎を「好き」になったのは、ずっと昔から。
いつも、私のことを気にしてくれていて…、そして「私」を知っていてくれる。
そんな慎は、私の「特別」だということに気づいたときには、
好きで好きで仕方がなかった―――。