ひとり恋♥マイセルフパラダイス(オリジナル版)
「あ、ソレなんですか?」

トートバッグに気がついた整体師さん。・・・ってかデカイし、誰だって気になるよね。

「もし風間さんに渡すものだったら、預かっときますけど」

トートバッグの中身はモチロン檸檬白書。

「いや、いいんです。じゃ、失礼します」


“風間さん、檸檬白書とか読まないよね?”


「あ、俺、そのマンガ、チョー好き!」


そのとき不意に、前にアイツが言ってた言葉が頭の中によみがえってきた。


“あたしのときもそうだったけど、手術をするまではずっと寝たきりでなにもすることなかったから、アイツ、退屈してんだろーな”


「お前と同じ目に遭って・・・はじめてお前のキモチが分かった・・・」


“アイツのキモチが分かるのは、同じ目に遭ったあたしだけってことか・・・”


あたしはなんとなく・・・ただなんとなくアイツのことが気になって、気がつくとアイツの病室の前に立っていた。

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