cherry blossom Ⅰ
「恵ちゃんっ!? どうした!??」


涙でいっぱいになった目を開けると
眩しいほどの光を感じることが出来た。
軽快な音楽が流れる喫茶店。
さきほどのヤル気のない店員も
怪訝そうにこちらを見ている。


そして目の前には驚いた様子の先生の姿。
そうか…あれは夢だったのか…
ふぅと溜め息をつき
目の前に座った先生の顔を見る。


夢だったとはいえ
あの暗闇に光を差し込んでくれたのは
まぎれもなく目の前にいる先生だった。


「ありがとう」


そうポツリと呟くと
先生は不思議そうにこちらを見て
少し口元がゆるんだ。
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