cherry blossom Ⅰ

日向と海南

目の前には《高校情報誌》と書かれた
辞書並に分厚い本が置かれた。
その付箋が貼ってあるページを開き
またサンドイッチを一つ口にする。


「これが俺の考えてるところなんだけど
…どう?この学校知ってる?」


《海南高校》


知ってる…。
うちの学区内では1位、2位を争う程の
かなりレベルの高い学校だ。
今の成績では日向はおろか
海南高校ですら行ける保証はない。


でも…
私の心が揺れることはなかった。


「先生の母校に行きたい」


それだけが私の想いだった。
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