cherry blossom Ⅰ
「わ…たし…」


―日向高校を受験したい―


たった一言なのにもかかわらず
それを発するのには勇気が必要だった。
例えるなら、そう。
大好きな彼にたった一言
「好きです」
と伝えるぐらいのものだった。


「私、まだ考えてなくって。
海南高校…よさそうな学校だし
受験校にしよっかな?」


自分の想いとは裏腹の言葉が
本当に伝えたかったことを押しのけて
次から次へと出て来る。


やっぱり日向を受けたいなんて


…………言えない。
< 27 / 29 >

この作品をシェア

pagetop