cherry blossom Ⅰ
私がなぜここまで言うのを躊躇ったか。
なにか特定の理由があるわけではない。
ただ…「日向高校を受けたい」
その一言が暗に貴方のことが好きだと
そう意味してしまうのではないか
それが心に引っ掛かってしまい
自分の正直な気持ちを言えずにいた。


この恋が叶うなんて思っていない。
そんなことは百も承知だ。
けど言ったことによって
今までの関係がギクシャクしてしまい
もう二度と…これから先ずっと
先生の笑顔が見れなくなるのではないか
隣からいなくなってしまうのではないか
そんな恐怖感に襲われる。


20分くらいだっただろうか
ふと頭の中に一つの答えが浮かんだ。


「恋より彼の笑顔を選ぶ」


それが私の答えだった。
今までの気持ちを振り払うように
パッとベッドから起き上がり
机の上に起きっぱなしだった
日向の過去問をクローゼットにしまう。
誰にも自分の想いを知られないように…
親にも…先生にも…


改めて机に向かい
借りてきた高校情報誌の
付箋が貼ってある《海南高校》の
ページと睨めっこを始めた。
< 29 / 29 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

ソラ-sky-
未波/著

総文字数/1

青春・友情1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop