cherry blossom Ⅰ
志望校すら決めてないことに驚いたのか
先生は私の目の前で大きく溜め息をついた。
そんな雰囲気に耐え切れず
何か新しい話題を探した。


「せっ先生はどこ高出身なんですか?」


「俺は日向高出身だよ。」


日向高校といったら県下一レベルの高い学校だ。
あまり詳しいことは知らないが
東大生を多く輩出しているらしい…
とてもじゃないけど
私が行けるような学校ではない。


「やっぱり頭のいい人は違いますね~」


と、ちょっと嫌みっぽく言ったら
先生から意外な答えが返ってきた。


「俺も元々はすげ-馬鹿だったよ。
英語なんか特に悲惨でさ。
この前のお前の模試みたいな点数ばっかだったし。
でもその時の担任が英語教師で
俺のために補習開いたり
レベルに合ったプリント作ってくれたりしたんだ。
そんな先生の姿見てたらさ
あ~俺も教師になりて~って思ったんだよね。」


そういいながら昔を思い出してるのか
嬉しそうに話す先生を見て
『この人も頭が良かったわけじゃないんだ』
という親近感が湧いた。


それと同時にある特別な感情も現れた。
心がギューと締め付けられるこの感じ。
なんなんだろ…?
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