ショート・ミステリーズ!短編集その3
君の不可解な失踪事件は、全国版の新聞紙やワイドショーでも広く取り上げられた。

小学校で緊急の集会が開かれ、年老いた校長が引きつった顔で、
「あなたたちはいつも通りの学校生活を続けなさい」
と呼びかけた。

だが、小学生にとって、こんな摩訶不思議な事件が身近に起きているのに、いつも通りの生活など送れるわけがなかった。

僕のクラスメートたち、特に君と仲のよかった女の子などは、教室の中で円を作ってわんわん泣いていた。

あまり君のことを知らない生徒たちは、変質者に誘拐されたんじゃないか、神隠しにあったんじゃないか、と好き放題言うのだった。
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