ショート・ミステリーズ!短編集その3
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『……3番ホームに到着致します。お降りの際は、お忘れ物の無いようにご注意下さい……』


回想に耽っているいちに、電車は終着駅に到着した。

シューッと音を立てて扉が開き、僕は電車を降りた。

重いカバンをたすき掛けにしたまま、ずっと立っていたので、肩がこってしまった。
首筋を揉みながら、僕は改札を抜けた。

変だな、と僕は思っていた。

こんな風に鮮明に、あの事件を思い出したのは久しぶりだったのだ。

駅舎を抜け、足を踏み出した時、激しい頭痛が僕を襲った。

血液が逆流するように鼓動が高まり、体中が振動する。

視界が油絵のように歪んでいき、呼吸がしづらくなる。

わけがわからず、僕は頭を抱えて地面にしゃがみ込んでしまった。

「……あの、大丈夫ですか……?」

振り仰ぐと、駅員が僕を心配そうな目で見つめていた。

僕は手のひらで額に浮かんだ汗を拭い、力なく微笑む。

「……ええ、大丈夫です」

そう言い、僕はフラフラと歩き出した。
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