ショート・ミステリーズ!短編集その3
僕は舌打ちをしながら、こめかみをさすった。

――いったいこの痛みは何なんだ?

腰に手を当て溜め息をつく。

すると、僕はある物を見つけ、胸が重くなるのを感じた。

土管だった。

周囲を森に囲まれた石畳の上、大小のコンクリートの残滓の中に、あの土管が待ち人のように立ち尽くしていた。

「壊されずに残っていたものがあったのか……」

そのコンクリートの筒は、樹の間から差し込む夕日に照らされ、奇妙な雰囲気を醸し出していた。
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