ショート・ミステリーズ!短編集その3
諦めたように首を振り、僕は土管へ歩み寄った。
「……降りてこれるかい?」
僕はそう言い、まるでダンスを誘うかのように、手のひらを君に差し出した。
君は頷き、僕に体を預けた。
僕は君の両腋に腕を通し、かかえ上げた。
ゆっくりと地面に降り立ち、僕の顔を見る君。
君の背丈は、僕の胸の高さぐらいしかなかった。
小学校3年生のまま、水色のワンピースのままだ。
燃えるような夕日の中、僕たちの影は何倍にも大きくなっていた。
「……背が伸びたね」
と、君は言った。
「そりゃあ、ね」
僕は唇を湿らせた。
「私、ずっと、ずっと……もう一度あなたに逢いたいって思ってたの」
「僕もだ。……もしかしたら、10年以上ずっと君のことを考えていたのかもしれないな」
僕は地面に膝をつき、君の身体を強く抱きしめた。
「……おかえり」
―了―
「……降りてこれるかい?」
僕はそう言い、まるでダンスを誘うかのように、手のひらを君に差し出した。
君は頷き、僕に体を預けた。
僕は君の両腋に腕を通し、かかえ上げた。
ゆっくりと地面に降り立ち、僕の顔を見る君。
君の背丈は、僕の胸の高さぐらいしかなかった。
小学校3年生のまま、水色のワンピースのままだ。
燃えるような夕日の中、僕たちの影は何倍にも大きくなっていた。
「……背が伸びたね」
と、君は言った。
「そりゃあ、ね」
僕は唇を湿らせた。
「私、ずっと、ずっと……もう一度あなたに逢いたいって思ってたの」
「僕もだ。……もしかしたら、10年以上ずっと君のことを考えていたのかもしれないな」
僕は地面に膝をつき、君の身体を強く抱きしめた。
「……おかえり」
―了―