ショート・ミステリーズ!短編集その3
通り雨のように嫌な気持ちになった由美は、テーブルの上に広げていた資料を鞄の中に詰め込んだ。

「じゃあ私、帰ります」

「……うん」

立ち上がり、玄関に向かう由美。

次の瞬間、由美の左肩が強引に掴まれた。

「きゃっ!」

掴んでいたのは、もちろん岸田だった。

軽やかな動作で彼女の首に腕を回すと、力を込めて由美をベッドに押し倒した。

ドン!と部屋が揺れる。
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