ショート・ミステリーズ!短編集その3
時折、強い風が吹き付けてくるので、こぎつねは、麦藁帽子が飛ばされないようにしっかりと押さえました。

「その帽子、すてきだね」
と、石がにっこり笑いながら言いました。

「これ、人間のおじいさんからもらったんだ」
と、こぎつねは答えます。

「ぼくが森にいた時、猟師のおじいさんがぼくにくれたんだ。すごく気に入ってるんだ」

「へえ。そのおじいさんは……?」

「うーん、それが、わからないんだ。毎日森に来て、ぼくにごはんをくれてた優しいおじいさんなんだけど、急に来なくなっちゃったんだ」

こぎつねは、白いひげをヒクヒクさせて言いました。
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