ショート・ミステリーズ！短編集その３

智春様は、くるりと振り返りなさり、
「ヤア、どうも」
と私の方に歩み寄ってくださったのです。

間近でお顔を拝見したとき、なんとお美しい男様なのだろうと感じ、この胸の高鳴りは、留まるところを知りませんでした。

私が、あまりに智春様のお顔をじっと見つめてしまったためでしょう、
「私の顔に、何かついていますか」
と、白い歯をお見せになりました。

私が、
「いや、あまりにお美しかったので」

というと、智春様は、
「そんな返事が初めてだなあ」
と、かわいらしくお笑いになるのでした。