ショート・ミステリーズ!短編集その3
踏み切りを渡り、川を越え、僕たちは走っていった。

町外れの黒い森が、だんだん近付いてきた。

君の横に追いつき、僕は尋ねる。

「面白い場所って、森の中?」

「うん」

森の中に入ることは、かくれんぼのルール違反だったのだが、僕はとりあえず君に付いていくことにした。

薄暗い森に入り、少し歩くと、灰色の建物が見えてきた。
工場だった。

コンクリートの壁を伝ってゆき、半開きになった、錆びた門扉を抜け、僕たちは工場のドアの前にたどり着いた。

僕はドアノブに手をかけ、回して引いてみた。

ギィィと下手なヴァイオリンのような音を立てて、ドアが開いた。

僕たちは、薄暗い工場内に足を踏み入れた。
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