ショート・ミステリーズ!短編集その3
その、三日後のことでございます。
勤めを終え、花木屋の裏口で、石段に腰かけて煙管を吹かしながら、私は智春様のお顔を思い出しておりました。
――あの邂逅は、もしかすると、夢うつつの出来事だったのではないか。
そんなことを考えていたときです。
薄紅色の堤燈の、淡い灯火にさざ波が立ち、私の前に、誰かが立つ気配を感じました。
顔を持ち上げると、そこに、智春様がいらっしゃったのです。
「まあ」
「須美さん、お久しぶりです」
私はさっと煙管を背中に隠しました。
「ハハハ、いいのですよ。それより、しばらく歩きませんか」
「えっ……今からですか?」
「エエ、お暇でない?」
私はぶんぶんと顔を振ります。
「イエイエ、大丈夫です、大丈夫です。私なんかで宜しければ」
勤めを終え、花木屋の裏口で、石段に腰かけて煙管を吹かしながら、私は智春様のお顔を思い出しておりました。
――あの邂逅は、もしかすると、夢うつつの出来事だったのではないか。
そんなことを考えていたときです。
薄紅色の堤燈の、淡い灯火にさざ波が立ち、私の前に、誰かが立つ気配を感じました。
顔を持ち上げると、そこに、智春様がいらっしゃったのです。
「まあ」
「須美さん、お久しぶりです」
私はさっと煙管を背中に隠しました。
「ハハハ、いいのですよ。それより、しばらく歩きませんか」
「えっ……今からですか?」
「エエ、お暇でない?」
私はぶんぶんと顔を振ります。
「イエイエ、大丈夫です、大丈夫です。私なんかで宜しければ」