ショート・ミステリーズ!短編集その3
君は首を土管の中に突っ込んだまま、
「これ、本当に土管なのかしら……? 中から風が吹き込んでくるみたい」
と、くぐもった声で言った。


「そんなことあるワケないじゃないか。落ちたら危ないよ」と僕は言った。

次の瞬間。

僕の背筋が凍りついた。

君の体が、まるで引きずり込まれるように、頭から土管の中に落ちていった。

サンダルを履いた君の足首が、バタバタと揺れ、土管の中に吸い込まれていった。

見たものが信じられず、僕は倒れそうになった。

だが君を助けようと踏みとどまり、パイプ椅子の上に立ち、土管を覗き込んだ。

土管の中の濃密な暗闇に向かって、僕は叫んだ。

「おーい! 大丈夫ー!?」

しかし土管内の湿った空気が揺れ、僕の声が反響するだけだった。

大人の人を呼んだほうがいい。

そう思った僕は、工場の外へ駆け出した。
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