{霧の中の恋人}
「相変わらず仲いいわねぇ」
「え!?仲いい?」
「うん、バカップルみたい」
「バカップル!?どこが!?」
カップルという言葉に反応して、顔が熱くなる。
「もうこの際さー、大地先輩のお嫁さんになっちゃえば」
「お嫁さん!?」
思いもよらぬ言葉に、ますます顔が熱くなる。
「お嫁さんなんて!私たち幼馴染だし!大ちゃんは私のこと何とも思ってないだろうし、大学生だし、まだ早いよ!!」
「まだ…ねぇ~。じゃあ、いずれはって考えてるのー?」
からかうような泉の言葉に、私は何も言えなくなり、目の前に置かれたオレンジジュースを一気飲みした。
もう…泉には敵わないよ…。
「…でもさ。
私も心配してるんだからね。
何かあったら言いなよ」
突然切り出された泉の言葉に、あっけにとられる。
これじゃ、文句も言えないじゃないの。
「…ありがとう…」
「いーえ」
微笑む泉の顔をみて、やっぱり泉には敵わないと、私は心のなかで白旗をあげた。
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