{霧の中の恋人}

久木さんの部屋に戻ると、すぐに久木さんと目が合った。


私が戻るまでずっと部屋のドアを見つめていたようだ。


まるで母親の帰りを待つ子供のように…。



「久木さん、とりあえず熱を計ってください」


体温計を渡すと、久木さんはのっそりと起き上がり、体温計を脇にはさんだ。


しばらくして電子音が鳴る。


身体から取り出した体温計を上から覗きこんで驚愕する。


「39度1分!?
もの凄く熱があるじゃないですか!?」


「…問題ない…」

久木さんはボソリと呟いて、ベッドに寝転んだ。


問題ありまくりです!


やっぱり病院に行った方がいいんじゃ…。


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