{霧の中の恋人}
ちょ、ちょっと何なの!
いきなり夜に訪ねてきて、訳分からないことを言い出して、名前も名乗らないなんて!
それに、さっき勝手にドア開けようとしてたし!
仕舞いには、理解能力に欠けている?
この話の流れで、「ああ、そうですか」って納得できる人なんているわけがない。
母が亡くなって2週間後の、夏の日の終わり。
突然、訪ねてきた見知らぬ失礼極まりない不審な男。
それが、久木 紫蘭
(ヒサギ シラン)の第一印象だった─…。
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