{霧の中の恋人}

「自分でも信じられないよ。

君に会ってから君の笑顔が頭から離れなくなった。
君のことをもっと知りたいと思った。

お好み焼き屋で、大地の言葉にショックを受けながらも必死で強がって笑っている君を放っておけないと思った。

こんな理由じゃダメかな?」



「ダメっていうか…」


お好み焼き屋さんでお手洗いに立ったとき、大ちゃんの『瑞希を幼馴染としか思っていない』発言を聞いていたのがバレてる!?


「君がトイレに行った後すぐに僕もトイレに行ったからね。
君がみんなの会話を聞いている後ろで、僕も聞いてたんだ」


また心の声が読まれてる!


「こんな事初めてで自分でも驚いているけど、決して軽い気持ちで言ってるわけじゃないよ。

大地を忘れられないというならそれでも構わない。
僕が大地を忘れる手助けをしてあげるよ」



突然の告白にただ戸惑う私の目の前で、水原部長は物腰の柔らかい笑みを浮かべていた───……




< 147 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop