{霧の中の恋人}
懐かしきメロディー
自宅に戻り、晩御飯を用意して久木さんと食べる。
今日のメニューはカレーライスだ。
久木さんには悪いけど、今日は手の込んだものを作る元気がなかった。
それを機械的に黙々と口に運ぶ。
久木さんも無言のままだから、食卓にカチャカチャと食器の音だけが響き渡る。
そうして静かな食事が終わった。
後片付けをして、リビングのソファーでボンヤリしているとき、ポケットの携帯から音楽が流れた。
そのメロディーを聞いた瞬間、身体が硬直する。
このメロディーを鳴らすことが出来るのは1人しかいない。
大ちゃんだ…。