{霧の中の恋人}
告白を受け入れてもらえないのは分かっている。
もしかしたら幼馴染の関係も壊れてしまうかもしれない。
それでも、大ちゃんに今までの想いをぶつけてみよう。
ウジウジ悩んで後悔していたって、前に進めない。
そろそろ長年思い続けてきた気持ちから、一歩踏み出すときが来たんだよ。
どうせ後悔するのなら、やることはやって後悔しよう。
そう思えたのは、昨日久木さんが弾いてくれた曲を聞いたお陰だった。
あの温かな曲に癒されて、励まされた。
どこか懐かしさを感じる曲を聞いて、誰かに見守られているような安心感を感じた。
今もずっとあの曲が頭の中で流れ続けている。
この曲が頭の中から消えないうちは、私は大丈夫。
足に力を入れて、前を向いて
私は歩き始めた──。