{霧の中の恋人}
次の授業に遅刻するからと大ちゃんが去ってから、泉はニヤニヤと笑っていた。
「さっそく見せつけてくれるわね~。
もう彼氏、彼女って感じぃ?」
彼氏…
大ちゃんが彼氏…
まだ実感は湧かないけど、幼馴染という関係から恋人になったんだよね。
「まだ実感がないよー。
だって幼馴染の時間が長かったんだもん」
「そのうち嫌でも実感するって!
アレコレしていく内にさ!」
泉が、意味ありげにニヤリと笑う。
「あれこれってっ!」
「あー、瑞希ったら顔が赤くなってるー!
一体、何考えてたのよー!?」
「もうっ!泉ったらからかわないでよ!」
それから散々泉にからかわれた。
でも、いつも心配してくれて相談に乗ってくれていた泉に、嬉しい報告が出来てよかった。
大ちゃんとこうなれたのも、泉のお陰だよね。
きっと、私は周りの色んな人に支えられて生きている。
もっと感謝しなくちゃだよね。
ありがとう泉───…。