{霧の中の恋人}
「瑞希ちゃん良かったわね~!」
バイト先の涼子さんにも報告したら、涼子さんもすごく喜んでくれた。
頭をギュッと抱きしめられ、涼子さんの胸に頭が押さえつけられる。
ちょっと苦しい…。
「今日はお祝いね!
そうだ!久しぶりにケーキでも焼いちゃおうかしら!
瑞希ちゃんの好きなチョコケーキがいいかしらね~」
ケーキを焼くことを思い立った涼子さんは「さっそく買い物行かなくちゃ!」とパッと私の頭を離して、出掛けて行った。
相変わらずパワフル…
でもあのはしゃぎよう…
自分のことのように喜んでくれて嬉しい。
「母さん、出掛けたの?」
店の奥から眠そうに俊介くんが顔をだした。
「うん、ケーキを焼くために買い物に行ったよ」
「ふーん…」
俊介くんは興味なさそうに呟いて、一つ大きなアクビをしてからエプロンを被った。
店番の手伝いをしてくれるみたい。