{霧の中の恋人}
どうしたんだろう久木さん…。
数日経っても、様子がおかしいのは変わらなかった。
家で晩御飯を準備しながら、彼の様子を気にしていると玄関のチャイムが鳴った。
「はい、どちら様ですか?」
インターフォンのボタンを押すと、画面いっぱいに不知火さんの顔に映った。
「オレオレー!瑞希ちゃん久しぶり~!」
画面にヒラヒラと手を振る姿が映る。
「不知火さん!お久しぶりです!
でも久木さんなら出掛けていますよ」
「あー、そうなんだー。
じゃあ待たせてもらおうかな~。
いい?」
「はい、もちろんです!
今開けますね!」
ドアの解除ボタンを押すと、暫く経って不知火さんが現れた。