{霧の中の恋人}
「あー、可笑しかった!」
不知火さんは大笑いして流した涙を拭きながら言う。
「いや~、やっぱり愛の力ってすげぇな!
あのシランをここまで変えちゃうんだからよー!」
愛の力!?
あ!そうだった!
不知火さんは、私と久木さんがそういう関係だって勘違いしてたんだっけ!?
「不知火さん!それは誤解で…」
誤解を解こうとするが、不知火さんの声に遮られた。
「でもま、シランがいい方向に向かっているみたいで嬉しいよ、俺は」
うんうん、と頷きながら、本当に嬉しそうな顔をしている不知火さん。
そうだ…
不知火さんなら、久木さんと付き合いが古いみたいだし、久木さんのこと詳しく分かるかもしれない。
「不知火さん、ちょっと聞きたいことが…」