{霧の中の恋人}
パッヘルベルのカノン
サンサースの白鳥
鍋を囲んだあと、例によって久木さんにヴァイオリンを弾いてもらっている。
どうしてだろう。
何故か、このヴァイオリンの音がむしょうに聞きたくなるんだ。
あ、この曲…
題名が分からない曲だ…。
この曲を聞いてると、すごく落ち着く。
幸せな気持ちで溢れてく───
この曲のタイトルがどうしても知りたくて、久木さんにしつこいぐらい聞いたけど、彼はどうしても教えてくれなかった。
自分でも何枚もクラシックのCDを借りて聞いてみたけど、見つからなかった。
この曲は、なんて曲なんだろう──。
ずっと頭から離れないメロディ。
心地よい旋律に酔いしれるように、私は瞼を閉じた───…。
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