{霧の中の恋人}
「で、その久木さんってどういう人なの?」
泉の質問に、私は久木さんを思い起こす。
「失礼で、非常識で、無愛想で、口が悪くて、冷たい人…かな」
「なにそれ!ますます大丈夫なの!?
1つもいいとこないじゃないの!」
泉のいう事は、まったくその通りだ。
会って一回目で、ここまで悪口が出てくる人も珍しいように思う。
「で、容姿は?何歳くらいの人なの?」
「歳は20代前半かな…容姿は…」
彼の態度や、台詞があまりにもインパクトありすぎて、容姿についてはあまり意識が向かなかった。
だけど、改めて考えると、世間ではかっこいい部類に入っているように思う。
切れ目の瞳、鼻筋の通った顔立ち、輪郭もシャープで、スタイルもいい。
顔だちも、体つきも、服装も。
そう。
全体的に、スマートな印象だ。
無駄なものが一切ない…といった感じがする。
おまけに、台詞にも一切ムダがない。
それが失礼な印象を与えるのだろうけど…。