{霧の中の恋人}
「瑞希ちゃん、いらっしゃい!」
大ちゃんのお母さんが笑顔で出迎えてくれた。
「おばさん、こんばんは」
「もう全然、瑞希ちゃんたら顔見せに来てくれないんだもの。
寂しかったわー」
「あはは、すみません。
いつもご飯ありがとうございました」
「あんな物でよければ、いつでも作るわよー」
おばさんの手料理。
これからは、あまり食べられなくなっちゃうんだ…。
「母さん、玄関先で話し込んでてもしょうがないだろ」
階段から下りてきた大ちゃんが顔を覗かせた。
「あらあら、そうね。
瑞希ちゃん、上がって」
「はい、お邪魔します」