{霧の中の恋人}
「…久木さんの…お友達ですか…」
失礼だけど、久木さんに友達がいたことに驚いた。
それに、久木さんとは正反対の性格みたいだし。
容姿もまるで対照的だ。
喋り方もまるで違う。
そんな2人でうまくいってるのかしら…。
「友人ではない。
顔見知り程度だ」
久木さんが、バッサリ切るように言った。
「久チンひどー!
もう相変わらずキッツイなー。
俺と久チンの仲じゃないの!」
「その呼び方はやめてくれないか。
第一、お前と友人になった覚えはない」
「もうー、久ちんの照れ屋さん!」
不知火さんはそう言って、久木さんのほっぺたを突っつく。
久木さんは、これでもかってぐらい眉間に皺をよせた。