{霧の中の恋人}
最後のヒマワリ
「おはようございます!」
「あら!瑞希ちゃんおはよう」
バイト先に着いて挨拶をすると、店長の涼子さんの笑顔と、色とりどりの花が私を迎えてくれた。
大学から一駅離れた商店街の中にある花屋で、週3日くらいバイトをしている。
「すみません、随分とお休みさせてもらっちゃって…」
「なに言ってるのよ!こんな時に!
それより瑞希ちゃん大丈夫なの!?」
「ええ。ご心配おかけしました。
もう大丈夫です!
それより、母の葬儀ではたくさんお花頂いてありがとうございました」
涼子さんは、お母さんの葬儀にたくさんのお花を無償で提供してくれた。
花祭壇も、涼子さん1人で作ってくれたのだ。
白や黄色の菊が主流の花祭壇。
でも涼子さんは
「静香ちゃんには、そんな地味なの似合わない」
と言って、ピンクや赤など明るい色の、様々な種類の花を用いて、華やかに飾ってくれた。
涼子さんのお蔭で、まるで花畑のような花祭壇に取り囲まれて、お母さんの葬儀は行われた。