{霧の中の恋人}
「私にはそれくらいしか出来ないもの…。
でも、まさか私が静香ちゃんの花祭壇を作ることになるとは思わなかったわ…」
「涼子さん…」
涼子さんは、お母さんと随分仲が良かった。
片親同士ということもあってか、意気投合したらしい。
頻繁に2人でランチに出掛けたり、旅行にも行ったりする仲だった。
その関係もあり、高校生のときからここで働かせてもらうようになったという訳だ。
「嫌だわ。湿っぽくなっちゃって。
ごめんなさいね。
さぁ、瑞希ちゃん今日も宜しくね!」
「ハイ、こちらこそ宜しくお願いします」
私はお店の奥でエプロンをつけ、働く準備をした。