{霧の中の恋人}
「彼女も昼食に呼んだらどうかな?
君、お好み焼きは好き?」
突然、私に話を振られる。
「へっ?お好み焼き?
好きですけど…」
「まだ昼食はとってない?」
「まだです」
「じゃあ、これから皆でお好み焼きを食べに行くところだから君も一緒に行かない?
騒がしい奴らだけど、みんな気はいい奴らばかりだよ」
「えっと…」
サークルのメンバーじゃない部外者の私が行ってもいいのかな?
窺うように大ちゃんの顔を見る。
「来いよ。いつも行ってるところなんだけど、美味いんだ。
いつか食べさせてやろうと思ってたんだけど、今まで機会がなかったし」
大ちゃんは、私の頭をポンポン叩いて言った。
「大地、やっさすぃー!」
「やっぱり姫には優しいんだなー。
ってか、イチャイチャすんなって!」
「決定!姫も強制参加ね!
ハイ、強制連行!」
「えっ、ちょっと!」
返事をする間もなく、あれよあれよという間に、私はサークルの人たちに連れ去られてしまった──。