{霧の中の恋人}
「瑞希ちゃんエビが好きなの?
じゃあ俺のもあげるよ」
隣の水原部長も、私のお皿にエビを乗せてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「姫、エビが好きなんだー。
じゃあ、俺のもあげる~」
そして井本さんも。
「姫はエビがお好きだそうだ!
皆の衆、ただちに献上せいー!」
遠藤さんが叫ぶと、メンバーの人が次々と私のお皿にエビを乗せていく。
「姫、これもお納めください!」
「姫、これもどうぞ!」
「ああ、俺のにエビ入ってねぇ!」
結果、私のお皿にエビの山が出来上がった。
というか、水原部長以外は、姫という呼び名が定着してしまったみたい。
ちょっと恥ずかしい。
「み、皆さん、ありがとうございます」
ちょっと戸惑いながら、笑顔でお礼を言った。
「姫、かーわーいーい」
「はにかんだ笑顔、たまんねぇ!」
「大地が大切にするのも分かるよなー。
こんな可愛い子じゃあなー」
可愛い!?
お世辞だと分かっていても、嬉しい。
けど、やっぱり恥ずかしいよ。
「あ、今度は赤くなった!
姫はすぐ顔にでちゃうのねー」
井本さんが、からかうように言った。