{霧の中の恋人}

初めての涙



久しぶりの大学は、何ひとつ変わってなかった。

まったく変わらない風景に、少しビックリする。


たった2週間しか経っていないのに、随分と時間が経ってしまったような気がする。



「瑞希~!!こっちこっち~!」

カフェテリアに着くや否や、私を呼ぶ声が辺りに響き渡った。


立ち上がり、手をブンブンと振るのは親友。

相沢 泉(アイザワ イズミ)だ。


「泉!久しぶり!」

「まさかこんなに早く大学に来ると思わなかったからビックリしたよ!」


「うん。もう葬儀も済んだし、いつまでも休んでられないなって」


「瑞希らしいわ」

泉が苦笑いを浮かべる。


とりあえずジュースを注文し、私たちは席に落ち着いた。




泉とは大学のサークルで知り合ったんだけど、すぐに打ち解けて仲良くなった。

こういうのを馬が合うっていうんだろう。

知り合って1年も経っていないのに、親友と呼べる関係だと思っている。

サバサバしていて行動派の彼女は、裏表がなく、付き合いやすい。


英文科に所属しているだけあり、流暢な英語を話し、知り合いに外国人がいたりと交流関係の幅が広い。


背もスラーっと高く、モデルのような体型に、黒いロングストレートの髪がよく似合っているように思う。


顔立ちもはっきりとしていて美人だ。



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