{霧の中の恋人}
さんざん皆にからかわれて、大ちゃんに悪いことしちゃったな…。
やっぱり、来なかったほうが良かったかも…。
「でもよー、あんなに仲よさげにしてたじゃん!」
「あんなにカワイイ子が幼馴染だったら、好きになっちゃうだろー。普通」
うんうん。と皆が頷いている。
大ちゃんは深い溜息を吐きだした後、真剣な表情で言った。
「だから、そんなんじゃねーって!
昔から一度だって、アイツをそういう風に見たことはねーよ!
瑞希は、ただの幼馴染だ」
その後の記憶は、あまり残っていない。
何とか席に戻って、普通に笑って、皆とまた喋っていた気がする。
焦げたお好み焼きの、苦い味だけが口の中にいつまでも残った───……。
──────
────────…