{霧の中の恋人}
「うー、気持ち悪い…」
それに頭も痛い…。
胃液がこみ上げて、思わず口を手で押さえる。
「瑞希さん、
女の二日酔いはみっともないよ」
すかさず俊介くんから痛い突っ込みがはいる。
「…そうだね…」
反論する元気もない私は素直に同意した。
次の日
二日酔いの重い体を引きずりながら、バイトに出勤した。
また俊介くんと2人で店番だ。
午前中のうちに涼子さんが切り花の水揚げと、商品作りを全部一人で済ませてくれていたので、特にやらなければならない仕事もない。
さすがは涼子さん。
相変わらず仕事が早いな…。
それに幸い、今日はお客さんが少なかった。
涼子さんの「無理しなくていいからね」という言葉に甘えて、私はカウンターに突っ伏して二日酔いの揺れに身を任せている。
俊介くんはお店の奥ばったところに椅子を置き、そこで読書。
俊介くんが本のページをめくる音が時折聞こえてくるぐらいで、店内は静かだ。