{霧の中の恋人}
神様がいるならお願いします。
どうか
どうか
大ちゃんと会いませんように。
私は祈るように大学の構内を歩いていた。
昨日の今日で、大ちゃんの顔を見るのは辛すぎる。
出来れば顔を合わせたくないな。
今までは大ちゃんの姿を探しながら歩いていた。
少しでもその姿が見られれば、一日が幸せな気持ちで満たされていた。
交わす会話一つ一つが大切で
一日の終わりには、話した内容を思い出しながら眠りについて
朝目覚めて一番には、今日は大ちゃんに会えるかなってワクワクしてた。
でも今は……
「瑞希。これから昼メシか?」
大ちゃんの笑顔をみるのが、こんなにも辛い…。