KISS OF LIFE
唇に、温かい感触が落ちてきた。

はあ…ここまでくると、あたしも重症だな。

妄想がリアルになっちゃったよ…。


目を開けると、白い天井が視界に入った。

あれ、あたし…?

「大丈夫か?」

声のする方に首を動かすと、南野課長がいた。

躰を起こすと、消毒液の匂いがツンと鼻についた。

「ここ…?」

「医務室」

南野課長があたしの質問に答えた。

あー、さいでっか…。

「無事で、よかった」

南野課長が言った。

「…はいっ?」

「急に気を失って」

そうだ、あたしはあの時気を失ったんだ。

「す、すみません…」

あたしは南野課長に謝った。

「ああ…」

南野課長はあたしから目をそらすようにうつむいた。
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