KISS OF LIFE
「しょうがないくらい、憎くて仕方がなかった。

出会ってそんなに間もないのに、あいつは彩花ちゃんを俺の前から奪った」

「そんな…淳平のことを悪く言わないで…」

「淳平――ああ、南野のヤツか。

はっ、もう名前で呼んでるのか」

もはや、人間じゃないと思った。

あたしの目の前にいるのは悪魔だ。

「でもね、そんなのはもう終わり。

今から俺のものにしてあげる。

南野のこと、記憶の中から削除させてあげる」

いやっ…。

「躰は、行ってないはずだよね?

だから、俺が代わりに奪ってあげる」

「やっ…ヤダッ!」

最後の抵抗をするように、あたしは首を横に振った。

「抵抗してももう遅いよ?

夜だし、誰もいないから叫んでもムダだからね」

目の前の悪魔はニヤリと笑うと、あたしに手を伸ばしてきた。

「いやっ!」

誰か助けて!

カシャッ
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