KISS OF LIFE
と言うか、
「本気なんですか?」

「本気じゃなかったら、言わないけど」

ま、マジですか…。

「俺も、どうかしてるって思う」

思うんだったら、言わないでよ。

「けど、本当に、好き…」

消え入りそうな声を出した南野課長の顔が、ますます真っ赤になった。

「あたしは、課長のこと知りません…」

だって、いきなり初めましての人にプロポーズされて、こんなにも困っている。

「それは…これからで、いいだろ?」

これからって、
「これから、俺のことを知ってくれればいいから」

うつむき加減に、南野課長が言った。

沈黙。

その沈黙に耐えきれなくて、
「あの、その…失礼します」

あたしは手を離すと、逃げるように医務室を後にした。
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