KISS OF LIFE
サプライズなことがありまして、あっと言う間に休日を迎えた。

時間の流れって、こう言う時に限って早いのね。

あたしは目の前の1軒家を見あげる。

「ここが、彩花の実家なんだ」

淳平が言った。

“堺”とかまぼこ板のような表札がはめられた、小さくて古びた1軒家。

お気づきの方はチラホラでしょうが、あたしの実家です。

最後に帰ったのは成人式だったっけな。

帰ってくるのは2年ぶりかな?

あーあ、いろいろと気が重い。

このまま帰ってもいいですか?

頭の中で現実逃避をしながら、あたしはインターホンを押した。

「はい」

低いアルトの声が返ってきた。

お母さんだ。

「あたし、彩花」

「わかった、今開ける」

パタパタとスリッパをかける音と一緒に、玄関のドアが開いた。
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