KISS OF LIFE
「そんな、知らなかったです…」

かすれたような声で淳平が言った。

「淳平くんと彩花も小さい頃に1度会ってるんだ」

話を続けるようにお父さんが言った。

「ウソ…」

かすれたような声が、あたしの口から出た。

「全然覚えていないんだけど…」

記憶が記憶ってこともあるけど、お互い全く覚えていない。

「もし年頃までお互い相手がいなかったら、その時は会わせようって、ずっと昔から話しあっていたんだ。

それがまさかこんな風になるとはなあ」

いや、1番驚いているのはあたしたちです。

そんな昔から、あたしたちは出会ってたんだ。

衝撃の事実にさっきまでの緊張はどこへやら。

「けど父は、僕に見合いをさせるって一言も言っていません」

淳平が言った。

「いずれ話すつもりだったと思う」

ドテッ

何ですか、その楽天的な答えは。
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