KISS OF LIFE
「全くもう、昨日は長谷川先生がかっこいい、おとといは杉里さんがかっこいい、1週間前は難波がかっこいいとかって……どんだけ聞かされてんのよ、わたしは」

呆れたように言った七海に、
「だって〜、マジでかっこいいんだもん!」

あたしは首を傾げ、ポーッと頬を紅くした。

「おーい、早く現実に帰ってきて〜」

何かが聞こえたけど、知らないフリをした。

「それよりも、新しく課長がくるんだって」

「へえ、五十嵐さんかな?」

ズコッ

その音に目を向けると、椅子ごと七海がひっくり返っていた。

ありゃま、これは今すぐに吉本新喜劇に出演できるぞ。

「七海?」

声をかけると、七海が椅子を直しながら起きあがった。

「あんたとはやっとれん、さいなら」

乱れた髪を直すと、七海は仕事に戻った。

あたし、何かしたか?

なんて思っていたら、
「はい、注目」

東雲主任の声がした。
< 5 / 152 >

この作品をシェア

pagetop