弱者

ガラガラに空いた電車に乗り込むと、久しぶりに穿いたピンヒールでむくんだ足に鈍い痛みを感じ、ゆっくり面接場所の位置を携帯で確かめるためにも、一番人気のない、端っこの優先席に腰を降ろした。

眼鏡をかけた男と、その向かい側に若い女性が座っているだけだった。


麻美が座った瞬間、隣の眼鏡の男が立ち上がり、ノロノロと向かいの女性の前に立ちはだかり、に話しかけた。





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