同窓会
第三章 疑惑


「俺は外の様子を見てこようと思う」

桐島君だ。


「…え?」


「ほら、電話線…外れてる可能性もあるし…。
何もしないより試す価値はあるだろ?」


そう言って笑った。



――不思議だ。


桐島君の笑顔を見ていると心が落ち着いていく。

不安な気持ちもすべて吸い取ってくれそうな―…そんな笑顔。



「わ、私も行く!」


気が付くとそう口走っていた。


「…いいの?」


「うん、私もこのままじっとしてるなんて嫌だから―…」


「ありがとう」





私達は玄関にかけてあった雨合羽を羽織り、
懐中電灯を手に持った。


まだ昼過ぎだったが、
この荒れた天気のため
辺りは薄暗く、雨風の音が一層激しさを増していた。




「美咲、気をつけてね」


菜穂子が心配そうに私を見つめる。


「うん、桐島君が居るから―…」


「じゃあ見てくるよ」


桐島君は玄関の扉を開け、私も外に出た。



< 19 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop