同窓会
私は気が引けたが、中に入った。
室内は木の温みが感じられる落ち着いた造りで、
思ったより広くすっかり怒りは消え、しばし見入っていた。
ずぶ濡れのコートを脱ぎ、鞄を玄関に下ろした。
「…美咲?」
「―……え?」
階段から髪の長いブラウスを着た女性が降りてきた。
「―…菜穂子!」
すぐにピンと来た。
十年振りに再会した親友だった。
「菜穂子ぉ!!」
私は駆け足で菜穂子に抱きつき、喜びを噛み締めた。
三条菜穂子。
小学校時代の一番の大親友で、サバサバした友達想いの性格の菜穂子が憧れでもあり私は大好きだったが、小学校を卒業してすぐ親の転勤で海外に引っ越した。
手紙やメールのやり取りはしていたが、
実際に会うのは実に十年振りだった。
「びっくりしたぁ、いつ日本に帰ってきたのよ?」
「美咲を驚かせたかったの」
そう言って無邪気に笑った。
昔と変わらないな―…。
変わらないで居てくれて私は嬉しかった。