同窓会
「あら?美咲」
「どうも」
昔と変わらぬピリピリした空気が流れる。
「これで全員な訳?」
春菜はズカズカと空いているソファーに腰を下ろした。
「まぁ…とりあえず時間も過ぎた事だし乾杯といこうか?」
テーブルにはガラスのコップに入った飲み物が並べられていた。
「乾~杯!」
「でも皆ほとんど変わらないよね」
「ほんと、美咲なんて小6のまんま」
「ひど~い菜穂子」
私が口を膨らましていると美加がクスッと笑った。
「菜穂子はまだ海外で暮らしてるの?」
「うん、十年も住んでるとすっかり馴染んちゃってね」
「へぇ…いいなぁ海外で住むとか憧れるよ。今は仕事は何してるの?」
「知り合いの所でインテリア関係の仕事に携わってるの」
「かっこいいね」
「美加は?」
「私は実家の近くの保育園で保母さんとして働かせてもらってるの」
「いいじゃない、美加に向いてそう」
インテリアに保母さん…。
皆、夢を持って仕事をやっているんだと羨ましくなった。
私は特にこれと言った夢も無く、平均的な大学を出て、大手の会社に入れたが上司の愚痴や口うるさい先輩に耐えながら毎日働いている。