桜華乱舞 〜蒼き月夜に永遠の誓いを〜
いつのまに・・!!
さっき見渡した時は誰もいなかったのに──
「誰だ?」
青年は一瞬体をびくつかせた後、ゆっくりとこちらを振り返ろうとする。
だがその時、私たちの間に壁を作るかのように桜吹雪が起き始めた。
まるで、私と青年を逢わせないように・・・
私は腕で桜の花びらから顔を防ぐと、私の頭の中で青年のような声が響いた。
『お前は、この世界に来ちゃだめだ・・・』
不意に私は彼の方に目を向けた。
桜吹雪の隙間から彼の藍色の瞳が見える。
その目は、どこか悲しげで何かを願ってるように儚く映る。
なんで、お前はそんな瞳をするんだ━━?
私は思わず彼に手を伸ばしたが、彼はその手を取ることなく
桜吹雪と共に暗闇の中へと消えていった・・・
.